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「サウジアラビアのモータ規制について」
※2024年6月27日 一部情報更新
中東、なかでもサウジアラビアはここ数年の原油高を背景に好景気が続いていますが、石油分野以外の産業育成に非常に力を入れています。
脱石油化産業を推進する“サウジ・ビジョン2030(2016年)”を提唱し、2023年末にはその中核となる人工的な産業都市“NEOM”の具体的なイメージ「THE LINE」とその計画も発表されました。
「THE LINE」イメージ画像 NEOM HPより
そうしたことから、ここ数年でサウジアラビアに向けた機械輸出が増えています。
とはいえ、特に電気機器に関しては独自の規制を設けていて、難しい面もあるようです。
それでは、モータに関して、どのような規制があるのか見てみましょう。
一般社団法人日本電機工業会 電動機業務専門委員会の資料より
つまりサウジアラビアでは
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IE3以上
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SASOの認証が必要
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規制対象:モータ単体
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1000V以下
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60HZ
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機械(ポンプ、ファン、コンプレッサなど)に組み込まれて一体化され分離できないモータ(モータ単体試験不可)や、ブレーキモータ、ギヤモータ、巻線形モータは対象外 その他
ということのようです。
ただし、注意が必要です!!
モータそのものは難しくなさそうですが、ここで問題となるのが、SASO(Saudi Arabian Standards Organization:サウジアラビア標準組織)という認証です。
(2024年6月27日修正)
最新の情報では、SASOはモータ単品での輸入の場合に関して対象となり、ポンプやファンに組み付いた状態での輸入は問題無いようです。
SASOが2022年に更新された当初は、ポンプやファンに組み付いた状態での輸入の場合でも、通関のトラブル回避のために、SASOでの対応が必要といわれておりましたが、現在では、上記のようになっているようです。
※ただし単体での輸入に関しては依然、サウジ国内の輸入をする企業が申請をすることになります。まずモータメーカーが発行する登録番号で登録申請をし、メーカーから発行された認証に必要な登録番号や書類の発行申請が受理されたら、その上で認証に必要な書類ををもってSASOに申請をし、認可される、という非常にめんどうな手続きとなるようです。
メーカー側としても検査工程の認定のほかに、登録番号の発行や申請書類の手配など、手間がかかることあり、費用も高くなってしまいます。
そしてモーター自体の認定は現地の輸入業者しか取れない、というのが現状のようです。
とはいえ、現地に納入された後で、メンテナンスなどでモータの交換をしようと思っても、単品でSASO対応ができるメーカ品でなければ、ユーザー様は困ってしまいますね。
こんな状況のため、日系のモータメーカーは現状はほぼ輸出不可となっていて、海外メーカーでも一部の製品でのみ輸出ができる、という状況のようです。
(今回の規制変更によって、今後輸出が可能になるメーカーも出てくるかもしれません)
自国の産業育成の一環として、非常にハードルの高い認証となっていますが、サウジアラビアは今後ますます開発が進んでいくと思われます。
そうした中で、どのような機械やモータに需要が集まってくるかを注視しつつ、対策を検討しておく必要がありそうです。