
冷却設備のポンプで効果的な省エネを行うには?
ー 5.5~55kW 中型ポンプ編 ー
省エネ・省コストを実現する新しい発想
冷却設備の中~大型ポンプは年間の運転電力量が多いため、高効率による消費電力の大幅削減が望まれます。
また、重要な冷却設備で使用される中~大型ポンプにおいては、”長寿命”かつ”容易なメンテナンス性”が必要となります。
そこで、「省エネ」と「省メンテナンス」の両立が可能な"同期リラクタンスモータ"が注目されています。
同期リラクタンスモータとは?
同期リラクタンスモータは外見上、従来の誘導モータとほとんど変わりません。
このため、ロータは磁束と全く同じ速度で動くことができ、同期して回転することから、
”同期リラクタンスモータ”と呼ばれています。

モータ内部のステータ(固定子)もこれまでのものと同じです。
革新的なのはロータ(回転子)となります。
ロータはステータコイルから発生する磁束に追随し、その位置が「ロック」された状態になります。
ロータの比較
【IE3】かご型誘導モータ

アルミまたは銅製の導体棒が鉄心に埋め込まれ、端環で短絡された「かご型」構造
回転磁界による誘導電流で回転力を生成
構造がシンプルで堅牢
耐久性が高くコストパフォーマンスに優れるが、高効率化には限界あり
【IE5】同期リラクタンスモータ

構造
磁石や導体を使用せず、鉄心に設けられたフラックスバリアが特徴
原理
磁気抵抗の差(リラクタンス)を利用して回転力を発生
特徴
軽量で高効率
損失が少なく、特に部分負荷時の省エネ性能に優れる
↓IE5とは?についてまとめたページは下記ボタンよりご覧いただけます↓
優れた省エネ性
(110kW 1500rpmポンプ/ファン駆動システムの場合)
◆定格の効率値比較
IE3誘導モータ(INV制御)
:定格効率値 92.5%
IE5同期リラクタンスモータ(INV制御)
:定格効率値 94.2%
◆回転数低減による効率比較
回転数(周波数)が低減するに伴いIE3とIE5の効率差は大きくなり、低回転数域では約7%の効率差になります

エネルギー使用量削減による効果
モータに関してのTCO(総所有コスト)に占める初期コスト・運用コスト・維持管理コストの割合においてエネルギー(電気)コストが96%と大部分を占めます。

総所有コスト(TCO)の96%を占めるエネルギーにおいて約8%の効率差はとても大きくエネルギーの削減に大きく寄与します。
↓IE5 同期リラクタンスモータの情報は下記動画をご覧ください↓
『省メンテ性(長寿命化)』と『容易なメンテナンス性』
◆『省メンテ性(長寿命化)』

モータのメンテナンスの頻度を低減したい
「長寿命のモータを採用したい」なにかいいモータはない?
【IE3】かご型誘導モータ

●構造的特徴
ロータリーバーとエンドリングに電流が流れ発熱する
●発熱(高温)によるデメリット
回転子に誘導電流が流れることでジュール熱が発生し、運転中の温度が上昇
●課題点
温度が起因となり長期間の使用には不向きで、定期的なメンテナンスが必要
【IE5】同期リラクタンスモータ

●構造的特徴
巻線を使用しない回転子構造が熱の発生を最小限に抑える
●低温度によるメリット
フラックスバリアによる設計が温度上昇を抑え、軸受けへの負担を軽減
●長寿命化
高い効率と低温運転により部品の長寿命化が可能
◆容易なメンテナンス性

省エネのモータとして永久磁石(PM)モータを検討してみたが容易にメンテナンスできない
かご型誘導モータと同じように容易にメンテナンス出来るモータはない?
【IE4】永久磁石(PM)モータ

磁石の磁力により容易にメンテナン スが出来ず、専門のサービスセンターに郵送し、メンテナンスを実施するケースが多い
【IE5】同期リラクタンスモータ

同期リラクタンスモータは、永久磁石を使用していないため、かご型誘導モータ同様のメンテナンスとなる
IE5モータ搭載可能ポンプ
メーカー
日立産機システム
製品
渦巻メカニカルシール式ポンプ
(4極電動機)
製品情報

※画像はIE3モータ搭載
同期リラクタンス
IE5モータ

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