
舶用モータの認証問題とは?
~更新時に注意するべきポイント~
業界で起きている変化
近年、製品ラインの変更や事業再編により、従来使用されていたモータの認証継続が難しくなるケースが発生しています

モータの認証継続が難しくなることは、
モータの更新時にどんな影響があるのでしょうか?
舶用モータは、船級規格への適合が求められるため、単に「同じ出力のモータ」で代替できるものではありません
舶用モータはなにが違うの?
舶用モータの端子箱は、防水構造を採用しており、外部からの配線引き込み部にはJIS F 8001規格に基づいた防水グランドが取り付けられています。


防水グランド
また、船特有の振動による端子の緩みを防ぐとともに、配線作業がしやすいよう工夫された構造となっています。
このように、舶用モータは海上環境における安全性を確保するための特別な設計が施されています。
特に船級船では、認証の有無が採用可否に直接影響します。
そのため、認証が継続されていないモータは実質的に使用が難しくなるケースがあります。

船級認証取得は法律…?
船級は、法律ではなくあくまでも民間ルールの位置づけです。
しかし、商船や国際渡航船では、安全性・保険・運航条件の観点から事実上必須となるケースが多く、船級に適合しない機器は実務上採用されにくいのが実情です。
代替選定のポイント
舶用モータを選定する際は、以下の観点が重要です
・船級対応の可否(NK、ABSなど)
・適用用途(推進・補機)
・船級認証
・インバータ対応有無
・保守・供給体制

近年は、メーカーの製品仕様の変更や事業再編に伴い、従来採用実績があるモータでも船級認証の継続性が保証されないケースが見受けられます。
認証が継続されていない場合、舶用適用に制約が生じる可能性があるため、選定段階での事前確認が重要となります。
国内・海外対応の考え方
主な船級協会
略称 | 名称 | 国 |
|---|---|---|
BV | Bureau Veritas | フランス |
LR | Lloyd's Register | イギリス |
DNV | Det Norske Veritas | ノルウェー |
ABS | American Bureau of Shipping | アメリカ |
NK | 日本海事協会(ClassNK) | 日本 |
国内案件では国内船級に対応した製品、海外案件ではDNV・ABSなどの対応が求められるため、
用途に応じたメーカー選定が重要です。
常盤電機では、
"国内船級に対応可能な製品の取り扱い"・"海外船級対応モータの取り扱い"により、幅広い用途に対応しています。

船舶用モータ (国内対応)
NK・JG船舶 認証取得


◆認証(型式取得済み 立会試験不要)
・NK(日本海事協会):77~225枠
・JG(船舶安全法):1~20kW未満
◆仕様
・全閉外扇型を標準仕様
・端子箱(引込口):JIS F 8001 防水グランド取付

船舶用モータ (グローバル対応)
主要国 船舶認証取得

◆船舶協会 認証対応(例)
フランス(BV)、ドイツ(DNV)、米国(ABS)、
イタリア(RINA)、日本(NK)、中国(CCS)、
韓国(KR) など
よく聞くこの単語説明できますか?
「舶用モータとは?」「船級とは?」編
舶用モータとは?
舶用モータとは、塩・湿気・振動・傾斜といった過酷な船舶環境でも安定して動作するように設計されたモータ
甲板機械用
補助機器用(ポンプ)
補機・設備用
発電・電力関連
推進用
発電・電力関連
甲板機械用モータ
荷役、係船、漁労など甲板作業を担う高トルク用途
発電・電力関連モータ
発電機駆動、電力供給、電動化・省エネ化の要
補助機器用モータ
冷却水、バラスト水、燃料、消火系など各種ポンプを駆動
補機・設備用モータ
空調、送風機、圧縮機、操舵補助など船内設備用
推進用モータ
船を前進させる主動力で電動推進・ハイブリット化の中核
→このように”舶用モータ”といっても様々な用途があり、船のいたるところでモータが使用されています
舶用モータならではの特殊要求
①防水・防塩:海水による腐食対策 / 湿気・結露対策 / IP等級
②船級規格への適合:NK・DNVなどのルール適合 / 設計・試験・認証が必要
③耐振動・耐傾斜:船特有の物理条件による対応
④高信頼性:長時間の連続運転 / 海上での故障リスク低減
⑤防爆対応:タンカーや油輸送船といった危険環境では必須 / 火花が出ない構造

舶用モータは、発電機による制約のある電源環境を前提として、インバータ制御と組み合わせることで最適な性能を発揮する点が陸上用途と大きく異なります
船級とは?
船級とは、船と船に載せる機器が「安全に使える」と第三者が保証するルールや認証のこと
船は、事故が起こると影響が大きいです

・人命にかかわる
・油やガスが流出する
・国際物流が止まる
よって、「この船と機器は安全です」とチェックする仕組みが必要 =船級(class)
船級でチェックされる内容
①構造
・船体の強度
・材料(鋼材など)
・溶接品質
②機関・機器
・主機(エンジン)
・発電機
・舶用モータ
・配管、電気設備
③安全性
・消火設備
・救命設備
・防爆設備
(タンカーなど)
船級への適合は、保険の引き受け条件や海外港への入港可否に影響する場合があり、特に商船や国際航海においては事実上の前提条件となることも少なくありません。
こうした背景から、船級は安全確保だけでなく、運航継続性やリスク管理の観点からも重要な役割を担っています。
