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「北米の防爆モータについて」
北米や南米の一部では、モータの安全規格として、NEMA規格があり、その中に防爆の規格NEC500(通称UL防爆)があります。
日本では一般的にIEC規格に準じた防爆規格を用いることが多いのですが、UL防爆との違いや、気を付ける点を見ていきましょう。
NEMAとULについて
アメリカを含む北米にはNEMAという規格があります。
NEMA(National Electrical Manufacturers Association: アメリカ電機工業会)は1926年に設立されたバージニア州に本部のあるアメリカ、カナダ、メキシコにおける主要標準化団体です。
NEMAによって標準化された規格はNEMA規格といいます。
NEMAモータはNEMA MG 1によって定められた電気的・機械的特性を準拠したモータであり、60Hzを用いる各国で一般的に広く使用されています。
また、主に安全面の規格でUL( Underwriters Laboratories Limited Liability Company、米国保険業者安全試験所)という企業が作った規格があります。一般的にUL規格と呼ばれるものです。
NEMA規格はインチ寸法なので、アメリカの規格といわれると「インチ」寸法をベースとした工業規格のNEMAと安全面の規格のUL規格が必要になる、といえます。これらは日本では流通していないので大きな違いといえます。
<NEMA準拠国>
米国の他に、カナダ、メキシコ、さらにアメリカ系企業が多い、フィリピン、台湾、サウジアラビアなんかもNEMAに準ずる場合が多いですね。
UL規格認証製品はULのマークがつきますが、これがないと設備導入にすごく時間がかかってしまいます。また、「UL準拠」という言葉をたまにお聞ききしますが、そのような規格や概念は存在しません。
恐らく「UL規格に合わせた製品である」ということが言いたいのでしょうけど、実際にUL規格で認証されているかどうかは分からないので、こういった表記をしている場合は、必ずメーカーに確認する必要があります。
また高効率IE3をクリアしていたら良い、という認識でミリ寸法のモータを納入すると、現地で入手しづらく、クレームになったりします。
これらで苦労されたお客様のお話をよく聞きます。
ちなみに、国産モータでそういった対応が出来るメーカーもあります。しかし現実には、すべてを完全に満たすことは難しいようです。
「UL認証は得ているがインチ寸法ではなかった」などというお話もありますね。
UL防爆とIEC防爆の比較
日本はIEC防爆を基にしたTIISという防爆等級と、旧JIS防爆という防爆の規格があります。
それに対して米国ではNEC500という防爆規格があります。一般的にUL防爆と呼ばれています。
UL防爆とIEC防爆は等級の設定が極めて似通っているのですが、基本的にIEC防爆は望まれない、と思ってください。
特に耐圧ガス防爆と、金属粉塵防爆の等級は現在アメリカが進めている産業でよく要求される等級です。
なんとなくで防爆等級を選んで、もしも事故が起きた際に、それが要求と異なっていたとなると、大変なことになるので注意が必要です。
実際にUL防爆と日本の旧JIS防爆の違いを表にしてみました。
細かい区分は別途ご確認頂きたいのですが、ここでは旧JIS防爆の、例えば「d2G4」といったものがどれにあたるのか、といった目安としてご覧ください。
UL規格とIEC規格は似ている部分も多いのですが、表記や区分が違います。
特にUL規格の方が分類がやや細かいので、IEC規格で見た時にどこに値するか注意が必要です
普段なじみのない、NEMA、UL規格ですが、適当に選んでしまうと、後で大変なことになります。
北米向けに限らないですが、海外のモータの選定の際は、
①現地で本当に必要な防爆の内容をしっかり確認
②ノウハウのあるメーカーに相談
することが大切です。